ラブカは静かに弓を持つ 著:安壇美緒
読書感想文原稿用紙5枚分です。宿題提出で文句を言われないレベルと思ってください。
賞は取れないですが読んでいる人が面白いと感じると思います。
本の内容
少年時代、チェロ教室の帰りにある事件に遭遇し、
以来、深海の悪夢に苛まれながら生きてきた橘。
全日本音楽著作権連盟の橘樹は、
上司の命令でミカサ音楽教室への潜入捜査をすることになった。
橘はミカサのチェロ教室で講師の浅葉桜太郎に会い、
彼の丁寧な指導に触れながら、
自分が公務員であると偽ってポップスを習うことになった。
かつてはチェロを習っていたが、
ある事件で被害に遭い辞めてしまった橘は、
深海の悪夢に苦しみ孤独感を抱いていた。
しかし浅葉や仲間たちと接する内に心を開き始める。
2年間のスパイ活動はあっという間に終わりに近づいていた。
やがてスパイ活動が終了し、
法廷で証言すれば浅葉や仲間たちへの裏切り行為が明るみに出てしまう。
しかし、橘は演奏の喜びや人との温かさを感じながらも葛藤し、
自分がとった行動は不明である。そして、彼の運命は…。
※商業利用では使わないようにお願いいたします。(売ったり、講義に使うなど)
©がとーほーむ
読書感想文の例
「ラブカは静かに弓を持つ」を読んで
○年○組 ○○ ○○
主人公の橘はスパイです。スパイ小説ですが、カーチェイスも、銃撃戦も、肉弾戦のバトルもありません。心温まる物語です。
橘は音楽著作権連盟に務めている25歳の青年です。音楽教室で演奏される曲にも著作権料金を支払うべきなので、実際に音楽教室で著作権が発生する音楽を教材として使用されていないかを確認するために、生徒として2年間の潜入調査を会社から極秘に任命され、音楽教室へ週に一回通い始めます。
橘は5歳から13歳までチェロを習っていた経験があり、音楽教室の上級コースを受講します。そこの講師が2歳年上の浅葉桜太郎です。
スパイと言えば、凶悪犯罪組織や、国家を揺るがす闇の団体などが、映画やアニメなどでは世の常だと感じていました。しかし、この本は音楽教室で、著作権が切れていない50年以内に作成された曲を練習している様子をこっそりペン型録音機に保存して裁判で有利になるように備える。というミッションです。もちろん、世界を救いません。むしろ、そこで演奏する曲に、お金を払わなければいけないということが驚きです。自転車に乗りながら熱唱している人を時々遭遇しますが、その場に橘がいたら、猛ダッシュして金払えと言って、追いかけてくるのではないかと、おののいてしまいます。
橘は、中学1年生のチェロ教室の帰りに誘拐未遂にあい、チェロを辞めていた経緯があります。その時のトラウマが原因で人間不信になり、社交性に乏しい性格になっています。睡眠もなかなかできなく、病院で睡眠薬を処方してもらっている程です。
私は、いつも眠りたがりです。特にお昼ご飯を食べた後は制御不能な程眠くなります。闇の組織が私のご飯に強力な睡眠薬を入れているのではないかと錯覚するくらい眠くなります。しかし、橘は睡眠薬を飲まなければ、寝られないとは、そんな大変な精神状態の気持ちが分かりません。眠りたくても寝られないのは凄いく辛いことなのだと感じます。私の睡魔を分けてあげたいです。
音楽教室の浅葉先生と仲良くなった橘は、飲み会に誘われます。その飲み会の参加者は、浅葉先生の生徒が先生を慕って集まっていました。橘は、同じ楽器と、同じ先生で教わっているという共通の環境にいる年齢も性別も異なる人達と打ち解けて、素直な自分を出すことできるのです。ここで、橘は芸能人に間違えられるほどのイケメンであることが分かります。楽器が上手なイケメンとは無敵ではないか。イケメンに一つの特技を与えれば無敵の方程式が分かりました。ここではイケメン×チェロ×スパイです。その他には、イケメン×あやとり×射撃精度もありますが、この場合、イケメンを外すとのび太になります。
音楽教室のコミュニティを得た橘は、昔のトラウマも薄れ、精神状態もよくなります。音楽を奏でる趣味と、良い人間関係から橘の体調も改善されるのです。
私はスパイ活動を辞めて欲しいと願いながら読みましたが、橘はスパイをやり抜こうとします。結局2年間のスパイ活動をやり抜きます。しかし、浅葉先生が人生を賭けた大事なコンクールに挑む時期と裁判をする時期が重なることが分かった橘は、2年間貯めた情報を会社の記録媒体全てを消去するのです。ここはパスワードの解析などあり、ドキドキしました。これで、裁判になることは無く、この人間関係を保てると安心しました。
しかし、橘の会社は他にもスパイを送り込んでいて、他の人の証拠で著作権を訴える裁判をおこすのです。ただ、他の人なので橘と浅葉先生は直接関係なくなります。バレないように教室を辞める橘は、こともあろうにお別れの挨拶の際に社章を落としてしまい、身元がバレて、今まで録音していたことも白状してしまいます。ドジ過ぎます。凄くいい関係だったのに、ケンカ別れしてしまうのだからショックが大きかったです。
有名チェロリストの小野瀬晃のコンサートに行った橘は、自分から絶縁した教室仲間と偶然に会い、そこで、皆が勝手に絶縁するなと言っていることを知ります。勇気をふり絞って、またいつも皆が集まるお店に行き浅葉先生にも謝ることができるのです。
会社を辞めた橘は、また浅葉先生の教室に通うことができ、二人の絆が深くなったように感じました。
小野瀬晃の曲を聴きたくなって、小説にでる映画や、主題歌の曲を検索しましたが、架空の人だったので驚きました。本の説明だと誰もが聴いたことあるような、坂本龍一の曲のようなイメージでした。
師弟愛が分かりました。最後まで橘が浅葉先生の裁判用データを消したことを言わないところの性格もイケメンだと感じました。
まとめ
心にしみる作品です。本屋大賞2023年2位!
音楽教室へスパイ(潜入調査)をする主人公と、
チェロ奏者の先生、音楽教室の生徒たちとの絆。
主人公の使命感と、人間関係に揺れ動く葛藤。
過去のトラウマとの対峙。
ヤマハ音楽教室で実際に似たような問題が起こっていました。
実際に小説のようなことは無いとは思いますが、
人間関係の絆、夢や目的の重要性など、
人生の深いテーマを探求しています。
そして、次第に自分の使命や人生の意味を見つけ出していく
過程が描かれています。
参考にする方は上手く切り取ってください。もちろん丸写しOKです。
前のページ:アーモンド 次のページ:そして、バトンは渡された
コメント