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読書感想文「ある閉ざされた雪の山荘で」

読書感想文

原稿用紙5枚分 サスペンス小説で書いた感想文です。


概要

1度限りの大トリック!

劇中の殺人は真実か?

俳優志願の男女7人、殺人劇の恐怖の結末。

早春の乗鞍高原のペンションに集まったのは、
オーディションに合格した男女7名。
これから舞台稽古が始まる。
豪雪に襲われ孤立した山荘での殺人劇だ。
だが、1人また1人と現実に仲間が消えていくにつれ、彼らの間に疑惑が生まれた。
はたしてこれは本当に芝居なのか? 驚愕の終幕が読者を待っている!

映画化もされていますが、もしかしたら、映画と内容違うかもしれないです。
原作と違う映画よくあるので・・・
本の(文庫版)感想文です。
映画だと京介の漢字が恭介になっているようです。

参考にする方は、上手く切り取ってください。もちろん丸写しOKです。

商業利用では使わないようにお願いいたします。(売ったり、講義に使うなど)

  ©がとーほーむ


読書感想文の例

 「ある閉ざされた雪の山荘で」を読んで

         〇年〇組 〇〇 〇〇

 東野圭吾の『ある閉ざされた雪の山荘で』を読み終えた時、私はその巧妙なプロットと緊迫感に驚かされました。この物語は劇団に所属する7人の役者たちが、次回作の演出最終オーディションのために雪に閉ざされた山荘に集まり、架空の殺人事件のシナリオを演じることから始まります。雪に閉ざされている設定での演出なので実際は雪が少し残るくらいの晴天の中、演技をすることになるのです。しかし、次第にメンバーが一人ずつ消え始め、シナリオが現実の事件に変わっていくという緊張感あふれる展開になります。実際に死体は無いのですが、痕跡があるため本当に殺人事件が起きているのか、それとも演出なのか最後まで分からないトリックでした。

 まず、物語の設定が非常に魅力的でした。雪に閉ざされた山荘という閉鎖的な環境は、登場人物たちの心理状態を緊迫させ、緊張感を伝えます。この設定の中で、役者たちがどのように行動し、どのように事件に巻き込まれていくのかに興味が引かれました。

 ネタバレになりますが、登場人物たちの中でも特に印象的だったのは、麻倉雅美と本多雄一の関係です。麻倉がオーディションに落選したことへの逆恨みで笠原温子、元村由梨江、雨宮京介の殺人を企て、本多が彼女に好意を抱いて協力します。これが分かった時、非常に複雑で深い人間関係がわかるのです。本多は実際に殺すことを恐れ、3人に真実を打ち明けて演技をしてもらうという決断をします。この行動が物語のキーとなり、真実なのか、演技なのかが錯乱して最後まで緊張感が途絶えませんでした。麻倉雅美が雨宮京介に好意を抱いていることを知っているのですが、本多は麻倉に協力をします。そこには、無償の愛を感じました。犯行計画を打ち明けることも、麻倉を殺人者にしたくないが為の幸せを願ってのことです。

 物語の終盤で明らかになる伏線回収には、思わず驚嘆しました。久我が主人公のような感じでしたので、そのつもりで読んでいて、多少の違和感を覚えていましたが、違和感の正体は、麻倉の視点で描かれていたことが明らかになり、全ての出来事が新たな視点から再解釈されます。「久我和幸の独白」という描写の意味が後から分かります。この手法によって、私はページを戻して、新たな発見を楽しみました。東野圭吾の緻密なプロット構成には感嘆です。

 また、他の役者たちの人間関係や背景も丁寧に描かれており、各キャラクターの個性が際立っています。中西貴子や田所義雄など、それぞれのキャラクターが物語に深みを与えており、彼らの行動や心理描写が物語をさらに豊かにしています。この物語で、演出を知らない人物は久我、中西、田所だけです。この3人だけが本気で騙されているから感情があらわに出ています。特に、事件の進行と共に変化する彼らの心理状態や関係性がリアルに描かれており、この3人の言葉に感情移入して共感しやすくなりました。

 東野圭吾の卓越したプロット構成と人間心理の描写に魅力を感じました。閉鎖的な環境での緊張感、巧妙なトリック、そしてキャラクターたちのリアルな心理描写が、自分もその場にいるような緊張感を味わいました。特に、麻倉雅美へ送る演技をしていることが分かった時は、謝罪と反省を込めて演じているのだと分かり、感動を覚えました。

 この物語の時代背景は1990年代です。パソコンもスマホもない時代です。時間つぶしにスマホを見るのではなく、本を読むことや、ピアノ、ビリヤード、カードゲームなどを楽しみます。ネットが無い時代に知識を得る手段は本と自分の経験、そして他者とのコミュニケーションでしか得られないのだと気付いて、驚きました。

 この小説は、ミステリーやサスペンスが好きな人だけでなく、人間ドラマを楽しみたい人にもぜひおすすめしたいと感じました。密室殺人のトリックの真相も楽しいですが、それぞれの人間関係や人物像に触れる過程ものめり込むことが出来て楽しめました。事件の真相に迫る過程で何度も驚かされ、最後には納得のいく結末に至るこの作品は、読後感も非常に良いです。何よりも、殺人事件のトリックを使っているが、誰も死んでいないことの安心感があります。自分が犯人ではないのに罪悪感が薄れた気分です。東野圭吾の作品の中でも特に印象深い一冊となりました。


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終わりに

久しぶりに読んだサスペンス小説で面白かったです。

感想文は犯人書いてますから、完全にネタバレですよね。
本の紹介なら、犯人言えないですが(むしろ言っちゃダメ)

感想文となると完全ネタバレ文章になりますね。

犯人が誰なのかを考えながら読むのは、楽しいですし、
自分が思った犯人が違ったりすると、逆にいい意味で裏切られて
良い本になりますよね。

サスペンス小説では読者を裏切ってなんぼってことですね。


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