原稿用紙5枚分(2000文字)の読書感想文の例です。自分を諦めない、そんな気持ちになれる本だと思います。
概要
東京・新宿にある都立高校の定時制。
そこにはさまざまな事情を抱えた生徒たちが通っていた。
負のスパイラルから抜け出せない21歳の岳人。
子ども時代に学校に通えなかったアンジェラ。
起立性調節障害で不登校になり、定時制に進学した佳純。
中学を出てすぐ東京で集団就職した70代の長嶺。
「もう一度学校に通いたい」という思いのもとに集った生徒たちは、
理科教師の藤竹を顧問として科学部を結成し、
学会で発表することを目標に、
「火星のクレーター」を再現する実験を始める――。
夢中になることを是とする気持ちになれる小説
読み終わったあと、胸中に小さな炎が燃えそうな気持になりました。
参考にする方は、上手く切り取ってください。もちろん丸写しOKです。
※商業利用では使わないようにお願いいたします。(売ったり、講義に使うなど)
©がとーほーむ
読書感想文の例
挑戦と絆、科学部の仲間たち
〇年〇組 〇〇 〇〇
学校は教育を受ける場でもありますが、自分が成長することを実感できる場でもあるのだと、改めて感じることができる本でした。
この物語は、定時制高校が舞台で、十五歳から七十歳代までの部員がいる科学部で「日本地球惑星科学連合大会」を目指して、火星のクレーター再現の実験をする活動を四人の生徒と教師が自分の生活環境や、実験活動の問題を乗り切りながら成長していく話になります。物語自体はフィクションですが、実際にあった定時制高校の実話がモデルになっていることに驚きました。
定時制高校は、様々な理由で通う生徒がいます。過去に不登校だった生徒が奮起して通学している人や、不真面目だった人、いわゆる不良と呼ばれるような人。それと、過去に高校に通いたかったが、通うことが出来なかった人が再挑戦している人。
大きく分けると、高校卒業の資格が欲しくて通っている人と、改めて勉強をしたいと思って通っている人の二極化のように感じました。そして、卒業資格が欲しいだけの人で、志が低い人は直ぐに退学してしまうものだとも感じてしまいました。
科学部のメンバー、元不良の岳人は、ディスレクシアという障がいで文字を認識することが困難な症状があるため、今まで勉強が出来ませんでした。この障がいに気付いた藤竹先生は岳人に対応策を教え、文字が読めて勉強をすることが出来るようになりました。佳純は母親から過度な期待をされて、その期待に応えられず自信を失って不登校になり精神的に不安定な状態で保健室登校をする生徒です。SF小説が大好きなため科学部の活動に自分の居場所を見つけることが出来ます。この物語に「オポチュニティの轍」の話題の中で火星探索機が出てきます。私も興味が湧いて画像を検索しました。この本を読んでいなかったら、それほど感動しなかったと思いますが、オポチュニティが孤独の中で撮影した画像を見ると感慨深く、不思議な感情になりました。
衝撃だったのは、少女がリストカットで自分の存在を確かめ、オーバードーズで自分の存在を忘れようとする行為を読み、なんて自暴自棄なことをするのかと嘆く反面、なぜ、そこまで自分を追い込まなければならなくなってしまったのかと感じました。それは、承認欲求なのか、それとも、逃避行為なのかと考えてしまいました。どちらにしても、周りに適切なアドバイスをする人がいなかったか、相談できる人がいなかった環境が彼女をそうさせたのだと感じ、とても衝撃的な感情が私の胸中に渦巻きました。私は親や先生に相談できるので、とても幸福な環境にいることが分かりました。
正直な気持ちで言いますと、勉強はあまり楽しいと思ったことはありません。できることなら早く勉強から解放されたいという気持ちの方が強いです。しかし、定時制高校では、歳を取ってから改めて勉強をしたいと感じる人がいることに驚きました。私は学校が好きか嫌いかで問われたら、好きと答えます。その理由は、勉強が好きだからではなく、学校に行けば、仲間や友人と楽しく会話を楽しむことや、ふざけ合って笑い合うことが好きだからです。私がこのまま卒業したら、数十年後に、もう一度高校生から勉強を学び直したいと感じる日が来てしまうのではないかと思うと、もう少し真面目に勉強に取り組んだ方が良いのではないかと本気で感じてしまいました。出来ることなら、学校に行く理由を遊びが楽しいからではなく、勉強が楽しくて学校に行くと言って親を安心させてみたいと妄想してしまいました。そのように宣言しても良いとは思うのですが、テストの結果が出たら、勉強が楽しくて学校に行っているわりには結果が伴っていないと、親に不審がられた後に、勉強をしていないことがバレてしまう恐れがあります。新しい知識を活用し、ディスレクシアが原因ではないかと親に言って、嘘を嘘で固め、逃げ場のない状況に陥る。負のスパイラルになってしまう。そんな想像をしたが、それではダメだ。詰んでしまった。解決策としては、本当に勉強するしかないです。勉強が楽しいと言う、脳内スキルを身に着けるよう頑張ろうと感じました。
この物語では、先生と科学部を取り巻く生徒たちが、ケンカもしますが、助け合いお互いを尊重して目的を共有し結果を出していきます。年齢も環境もバラバラな人たちが、一つの目標に向かって結果を出していく達成感は、読んでいて爽快なものがありました。
私は、自分に向いているものや、興味の出るものが何なのか分かりません。これから、色々な情報を取り込んで、スマホの画面だけを見るのではなく、本を読み、人の話しを聞いて見つけていきます。
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終わりに
訪問ありがとうございました。
2024年の高校生の部の課題図書となっています。
高校生の部の課題図書は毎年当たりの本が多いと思います。この本もそれに該当するのではないでしょうか。
中学生の部だと、「ノクツドウライオウ」も面白かったです。
小説部門が好きだから自然とこのチョイスになるのですけどね。
本屋大賞とかも面白いのですが、主人公が辛い思いをずっとしている内容が多いので読んでいて心が苦しくなるのですが、課題図書ではそれが少ないのでいいです。
選考する人は、この本を見つけるまでたくさんの本を読んでいるのかと思うと凄いって素直に思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。
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