中学生の課題図書です。少し反抗期の男子をイメージして書いてみました。
本の概要
インドの都市ムンバイにあるスラム街を舞台に、貧困や格差のなかで生きる12歳の少女ミンニの日常を描いた児童文学作品です。病気の母親に代わって裕福な家庭で家政婦として働きながらも、学校に通い、夢を捨てずに前を向いて生きる彼女の姿は、多くの読者に大切なことを問いかけてきます。
物語の中心には、水をめぐる深刻な格差が描かれています。私たちが当たり前のように使っている水が、スラムではお金がなければ手に入らず、安全で清潔な水を求めて人々は長い列に並びます。また、作中には「水マフィア」と呼ばれる非公式な供給者の存在も登場し、現代にも残る深い社会問題を子どもの目線で見せてくれます。
さらに、インドに根強く残るカースト制度も物語に影を落としています。生まれた家によって人生が決まってしまう社会の理不尽さのなかで、ミンニはあきらめることなく、詩を書くことを通じて自分の声を世界に伝えようとします。どれほど環境が過酷でも、彼女は自分の尊厳と夢を手放しません。
この本は、単にかわいそうな子どもの物語ではなく、「当たり前の生活」とは何か、「幸せとは何か」を静かに、でも力強く問いかけてくる一冊です。今ある暮らしのありがたさに気づき、誰かのために動くことの尊さを教えてくれます。読後には、自分の考え方や日常の見え方が少し変わっていることに気づくはずです。
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感想文の例
ババアが母に変わる日
〇年〇組 〇〇〇〇
こんな生活、絶対無理です。まず、スマホがありません。SNSがない世界なんて考えただけで寒気がします。家でスマホが使えないと落ち着かなくなるくらいには依存していて、SNSジャンキーって言われても正直否定できません。なのに、この本の主人公ミンニの暮らしには、スマホどころか水道すらないんです。もう、最初の数ページで軽くパニックになりました。
『スラムに水は流れない』は、インド・ムンバイのスラムに暮らす十二歳の少女ミンニの物語です。文章の描写から、道はデコボコで舗装されておらず、空気はホコリっぽくて、そこら中にゴミがあるような様子が伝わってきました。未舗装の道で思い出す記憶は、昔、家族でキャンプに行ったときに、父とカブトムシを探しに林道を歩いたことです。でも、虫が苦手になった今の僕には、そんな環境は正直、拷問に近いです。虫が出るだけでもテンションが下がるのに、それが日常になるなんて、自信を持って言います。適応できる気がしません。
しかも、ミンニは水をくみに行くために、毎日長い列に並んでいます。水が買えないと生活できない。日本の生活では、水道をひねれば水が出て、シャワーを浴びながら鼻歌を歌って、いつの間にか熱唱までたどり着く自分としては、まるで別世界の話に感じました。しかもその水は、飲めるかどうかもわからないレベルだそうです。この本を読んで初めて、水がどれだけ貴重でありがたいものかを思い知らされました。
そして、病気の母の代わりに家政婦として働くミンニ。お金持ちの家で掃除や料理をこなすなんて、僕なら完全に戦力外通告を受けます。僕の料理レパートリーと言えば、カップラーメンくらいです。袋麺は無理です。そのまま食べるしか他に手がありません。しかも、ミンニの母は家事能力がとても高くて、「お母さんの方が良かった」と比べられてしまうこともあったようです。でも、ミンニは母の仕事ぶりを知って、母のすごさを実感していきます。
それを読んで、僕もふと考えてしまいました。うちの母も普段はうるさいし、陰でババアとか言ってしまうこともあるけど、実はかなりすごい人なのかもしれない、と。そんなふうに思う日が来るとは、自分でもびっくりです。後で褒めてあげようと思います。
さらに驚いたのは、水の利権をにぎる「水マフィア」の存在です。マフィアって、人を殺すような危ない組織というイメージでしたが、本当に水をめぐって人々を支配しているらしいです。ミンニの兄は、マフィアの秘密を知ってしまい、命を守るためにスラムを離れ、田舎に逃げました。その後、農業をしながら静かに暮らしていた兄は、そこで料理店を出す友人を見つけ、なんと夢だった料理人への一歩を踏み出すのです。命からがら逃げた先で、自分の夢に出会うなんて、まさに人生何が起こるか分かりません。チャンスって、いつどこに転がっているかわからないんだなと思いました。
僕も、スマホの画面ばかり見ていないで、もっと周りのことに目を向けて、チャンスを見つけられるようにしたいです。
それにしても、ミンニは本当にすごいです。学校に通いながら働いて、家のこともやって、水までくんできて、それでいて詩を書く時間まで持っている。僕の毎日と比べたら、ものすごく充実しているというか、真剣に生きているというか…。僕の方がよっぽどぬるま湯に浸かっている気がしました。
ミンニの通うパソコン教室の授業料が、母親の懸賞当選で免除になったということです。なんでも、お母さんが諦めずにいろんな懸賞に応募し続けた結果らしいです。うちの母もテレビの格闘技番組に影響されて、もし格闘技教室の懸賞に当選して「ちょっとやってみようかしら」なんて言い出したら、全力で辞退させなければなりません。いろんな意味で怖いので。
そして、ミンニの行動には常に「誰かのために」という気持ちがあるのがすごいと思いました。家族のため、友だちのため、周囲の人のために動けるって、簡単なようで難しいです。僕だったら、自分のことで精一杯になってしまうと思います。けれど、ミンニはその中でも、自分の夢を持ち続けているんです。そういう強さに触れて、自分も何か目標を持ってみたいと思いました。とりあえず、宿題を今日中にやることから始めようと思います。すでにギリギリではありますが。
読み終わったあと、真っ先に「これは無理」と思った生活。でも、読み進めていくうちに、自分の生活がいかに恵まれているか、そして感謝ってやつを忘れていたなと感じるようになりました。この本に出会えて、本当に良かったと思っています。さっそく、水道水をガブ飲みして感謝してきます。
タイトル案
・スマホなし生活は無理
・水道が恋しくなる本
・ババアが母に変わる日
・シャワーの尊さを知る
・SNSジャンキーの反省文
・ぬるま湯にいた僕から
・水くみとかマジ無理です
・チャンスは意外と足元に
・虫が出るだけで絶望です
・お母さんってすごいかも
・水マフィアとか怖すぎる
・詩を書く少女がすごすぎ
・水道水に感謝した午後
・格闘技懸賞はやめてくれ
・真面目な気持ちもあるんです
Youtube
終わりに
この本を読んで強く感じたのは、インドのスラム街では「水」が命に直結するほど大切な資源だということです。ミンニたちは毎日長い列に並び、安全かどうかもわからない水を手に入れなければ生きていけません。
一方、日本では水は蛇口をひねれば出てくるのが当たり前で、むしろ水よりもガスや電気、ガソリンといった「エネルギー」が生活を支える重要な資源として意識されることが多いかもしれません。たとえば災害が起きて電気やガスが止まったとき、私たちは不便さや不安を強く感じます。
でも、インドのように水そのものが「買わなければならないもの」であり、「争いのもと」にもなる世界があると知ることで、自分たちが「何を当たり前だと思って暮らしているのか」を見直すきっかけになります。
感想文を書くときは、こうした世界や生活の「差」に注目して、自分の暮らしと比べてみることが大切です。「日本とインドでは、何が一番必要とされているのかが違う」と気づくことで、より深い視点で作品を読むことができます。
また、そこで感じた疑問や気づきを「自分だったらどうするか」「日本で同じ状況が起きたらどうなるか」と考えると、文章にオリジナリティが出て、読む人にも伝わる感想文になります。
この本は、水を通して見えてくる「生活」「命」「差別」「希望」の問題を教えてくれます。読んだあとに何を思ったか、自分がどう変わりたいと思ったかを、素直に書くことが何より大切です。
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