2025年度の高校生読書感想文の課題図書です。
宗教対立による争いが起きて、国が分断し、今なお争いが絶えておりません。
インドとパキスタンによる話です。
読書感想文には、差別なく争わないことのや、
話すことが苦手な主人公の気持ちになり、勇気を出して克服すること。
家族を大切にすること。
人の愚かさなどを題材にすれば書きやすいと思います。
概要
分断された国で懸命に生きた少女の記録
1947年、インドとパキスタンが分離・独立した混乱の時代。
この動画では、ベライ・ヒランサイニー作『夜の日記』をもとに、
12歳の少女ニーシャーの視点から、宗教対立やカースト制度、
そして「本当の人間らしさ」とは何かを考察していきます。
彼女は話すことができませんが、日記という形で“声”を取り戻していきます。
争いの中で、人は本当に分かり合えないのか? 宗教や身分は、命の前で意味を持つのか?
静かで強い物語を通して、今の私たちにも響く「平等」や「共感」の大切さを、
じっくりと深掘りします。
読書感想文の例
夜に書かれた祈り
〇年〇組 〇〇 〇〇
1947年8月15日、インドはイギリスの植民地支配から独立を果たしました。しかし、この「独立」という出来事は、同時にヒンドゥー教徒が多数を占めるインドと、イスラム教徒が中心となるパキスタンとの分離を意味していました。表向きには喜ばしい日であるはずの独立は、実際には大勢の人々を分断し、暴力と混乱に満ちた現実を引き起こしました。
小説『夜の日記』は、その混乱の中を生き抜いた少女の目を通して語られます。まるで本当に体験したかのように引き込まれ、心に響いてくる迫力がありました。語り手は12歳の少女ニーシャー。彼女は双子の兄アーミルと、父、祖母、そして料理人のカチと暮らしています。言葉を話すのが苦手なニーシャーは、亡き母に宛てて日記を書くことで日々の出来事や、心の中の思いを少しずつ表現していきます。
物語の中で、ニーシャーの一家は宗教の違いから住んでいた町を追われ、命の危険を感じながらインド領へと避難することになります。その旅の描写は、苦しさや不安、恐怖がとてもリアルで、自分がその場にいたらと思うと胸が詰まりました。家族は電車にも乗れず、徒歩での長い移動を余儀なくされ、途中では暴力や死に触れることもあります。ただ移動するだけの旅ではなく、生きるために必死な日々でした。
とくに忘れられないのは、料理人のカチとの別れの場面です。カチはイスラム教徒のため、一緒に国境を越えることができません。ニーシャーにとっては母親のような存在だった人との別れです。彼女は何も言わず、ただカチの手を握るしかありませんでした。読む側としても、その沈黙にどれほどの感情が込められているかが伝わってきて、胸が締めつけられました。宗教という違いが、こんなにも人と人との関係を引き裂いてしまう現実に、強い衝撃を受けました。
なかでも、特に印象的だったのは、アーミルが旅の途中で高熱を出し、倒れてしまう場面です。水も食べ物も手に入らず、このままでは助からないかもしれないという絶望の中で、空から降ってきた雨が家族を救います。ニーシャーは雨水を集めてアーミルに飲ませ、体を冷やし、何とか一命を取り留めることができました。自然の恵みが命を救うという描写に、人間の力ではどうにもできないものへの感謝の気持ちが生まれました。そして、誰かの命が消えそうになるとき、自分がどれだけその人を大切に思っているかがはっきり見えてくることも知りました。
また、ニーシャー自身の「声」がこの物語の中心になっています。話すことが苦手な彼女は、日記の中で少しずつ自分の気持ちや考えを書き綴っていきます。彼女の言葉は飾り気がなく、率直で、それだけに心に響きました。言葉を使うことの難しさと、言葉があるからこそ誰かとつながれる喜び。そのどちらもが、彼女の成長の中にしっかり描かれていたように思います。
現代の日本では、宗教的な対立はあまり見られないかもしれません。でも、違う考えを持つ人を受け入れなかったり、ネット上で誰かを一方的に責めたりするような「見えない分断」は確かにあると思います。そうした分断をなくすには、誰かの気持ちに寄り添おうとする姿勢、つまり「共感する力」がとても大事なのではないかと、この本を読んで感じました。
ニーシャーの成長にも大変共感を覚えました。最初は自分の思いをうまく言葉にできなかった彼女が、旅の中で多くのものを失いながらも、自分の「声」を持つようになっていきます。後半の日記では、母のこと、自分の宗教のこと、兄や父への思いが、前よりもはっきりとした言葉になって表れてきます。実際に誰かに話すわけではありませんが、心の中ではきっと、自分の気持ちをまっすぐに伝えられるようになっていたのではないかと思いました。
印象に残ったのは、ニーシャーが「自分の中には二つの宗教の血が流れていて、どちらも自分の一部だ」と受け入れるところです。これは、自分を否定しないということでもあり、人の違いを否定しないということでもあると感じました。
『夜の日記』は、遠い国の昔の話ではありません。今の私たちにも通じるテーマがたくさんありました。言葉にする勇気。違いを認め合うこと。家族や他人を思いやること。私はこれからも、自分の中にある「見えない声」に耳をすませ、他の人の声にも素直に向き合っていきたいと思います。そして、分断ではなく繋がりを大切にしたいと思いました。最後に、友達を作る勇気が明るい未来を作る喜びへと繋がるのだと感じました。
タイトル案
・境界を越えて生きる
・その声は届いている
・分断の先にある光
・見えない声を探して
・声なき少女の願い
・境界線の向こう側
・夜に書かれた祈り
・二つの血を抱いて
・共感でつながる世界
・違いを越えて寄り添う
・一滴の雨が命を救う
・言葉にならない想い
・その日記は叫んでいた
・争いの中の優しさ
・私の中の二つの宗教
YouTube
終わりに
📘 読書感想文って、どこから書けばいいか分からない…
そんな人におすすめなのが、「一つの視点」に絞って深掘りすることです。
たとえば『夜の日記』なら、こんな視点があります。
- ニーシャーはどうして声が出せなかったのか?
病気なのか、それとも性格なのかは書いてないです。だから、自分なりに勝手に解釈していいと思います。 - 宗教やカーストは、命の前で意味があったか?
これも深掘りすれば答えはないです。でも、みんな平等でまとめた方が好印象。 - なぜ家族とのつながりが大切に描かれていたのか?
自分の家族と対比すれば書きやすいかもしれませんね。 - ガンディーの非暴力と、ニーシャーの行動の共通点は?
争いが必要ないって点です。暴力以外の解決法を望んでいます。
このように、「宗教」「身分」「家族」「声」「争いと平和」など一つのテーマに注目して、自分の考えや感じたことを深掘りしていくと、自然に文字数も増えていきます。
書き出しに困ったら、まず「一番心に残った場面」だけでも書き出してみてください。
あとは、「なぜそれが印象に残ったのか」「自分ならどう感じるか」を考えていけば、立派な感想文になりますよ。
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