2025年度の高校生課題図書です。書籍の内容を重視し、感想は控えめな割合でまとめました。読書感想文を書くことに慣れてくると、つい「型」にハマりがちですが、選考にノミネートされる人が多い中で、不安を感じる生徒も少なくありません。そんな中、ユーモアを交えつつ、自分らしさを大切にした個性的な感想文を目指しました。どうぞご参考ください。
概要
物語の舞台は、県立野亜高校の図書室で活動する「イーハトー部」。この部は、宮沢賢治の作品を研究する小さな同好会です。
ある日、部長の風見先輩が「ほんとうの幸いは、遠い。」という言葉を残して突然学校から姿を消します。
残された部員たちは、賢治の詩や未完の傑作『銀河鉄道の夜』を手がかりに、先輩の謎を追いながら、それぞれの「ほんとう」と向き合っていきます。
主な登場人物
- 高田千樫(チカ):2年生の男子生徒で、物語の語り手。第一志望の高校に落ちたことや、過去のトラウマを抱えながらも、イーハトー部での活動を通じて自分自身と向き合っていきます。
- 石舘恭平(キョンヘ):チカの同級生で、仮入部中のメンバー。明るく社交的な性格の裏に、弟を亡くした深い悲しみを抱えています。
- 増子耶寿子(マスヤス):1年生の女子生徒で、賢治作品に詳しい新入部員。過去の出来事から男性恐怖症を抱えており、風見先輩との関係に複雑な感情を持っています。
- 風見昴祐(風見先輩):イーハトー部の創設者であり、部長。修学旅行後に「ほんとうの幸いは、遠い」という言葉を残して突然不登校になります。
読書感想文の例文
理想郷は図書室の中
〇年〇組 〇〇 〇〇
初めにこの本を読むにあたり予備知識として押さえておくべきことが「イーハトーブ」
である。イーハトーブとは、宮沢賢治が創作した架空の理想郷であり、彼の文学作品にたびたび登場する幻想的な地名である。名称は、宮沢賢治の故郷である「岩手(イワテ)」をもとにした造語とされ、自然と人間が調和して生きる世界を象徴している。
この世界には、現実に存在する地形や風景、農民や鉱山といった日常的な要素とともに、精霊や幻想的な存在が共存しており、現実と空想が入り混じった独特の世界観が形成されている。
イーハトーブに描かれる物語では、「ほんとうの幸いとは何か」という問いが繰り返し扱われており、宮沢賢治の思想、自然への神聖なる気持ち、博愛主義、宗教観、そして科学への関心が色濃く反映されている。代表作『銀河鉄道の夜』もまた、このイーハトーブ的世界の延長線上にある作品である。現代においても、イーハトーブは「理想の郷土」や「心のよりどころ」として多くの人々に親しまれており、岩手県では観光や文化活動の象徴としても広く用いられている。
この物語の簡単なあらすじは、県立野亜高校を舞台に、宮沢賢治の文学に惹かれる高校生たちの内面の葛藤と成長を描いた青春小説である。物語は、2年生の高田千樫(チカ)が、文学同好会「イーハトー部」に入部することから始まる。そこには、明るく快活な同級生の石舘恭平(キョンヘ)、博識な1年生の増子耶寿子(マスヤス)、そして、カリスマ的存在である部長の風見昴祐からなる物語である。
風見は宮沢賢治の言葉「ほんとうの幸いは、遠い」のメッセージを最後に、学校へ来なくなる。部員たちは、風見の不登校の原因を探るうちに、それぞれの過去や傷と向き合うことになる。キョンヘは弟の死、マスヤスは過去のトラウマ、チカは自分の無力さや孤独に直面する。
やがて明かされるのは、風見が過去に助けた迷子の子どもが家庭内で虐待を受けていたという事実である。それを伝えた同級生の万琴の言葉により、風見は深い自責の念に苦しみ、学校を離れていたのだ。
物語の終盤、風見との再会を果たしたチカたちは、それぞれの「ほんとうの幸い」について考えるようになる。
卒業式で行われた『銀河鉄道の夜』をテーマとしたビブリオトークを通じ、彼らは「誰かと共に生きること」の大切さを学び、新たな一歩を踏み出していく。
もし、私の学校にイーハトー部があったならば、その名の通り理想郷と言っていいと感じる。活動内容が図書館で雑談と書籍についての語り合いなのである。血沸き肉躍る年代なのだから、体を動かして大声を張り上げて青春を謳歌するべきだと、大人たちは言うであろうが、若さゆえの瞬発力があることは認める。大声を発して飛び跳ねることも、しばしあるであろう。だがしかし、それを生業とする部活動こと運動部と呼ばれるところに参加することは、私の性に合わないのである。大声自体が禁じられた空間で好きなことを語ることを公認されている同好会なら是非に参加したいと感じた。スマホは検索以外に使わないようにしたい。動画やゲームで時間を費やすのは、対峙する仲間に失礼だからである。そんなことを妄想してしまうくらいに、物語に入り込んでしまった。そもそも、我が校にはイーハトー部は無い。ならば新設すればいいのかとなると、宮沢賢治への想いと知識が足りなすぎるのである。「銀河鉄道の夜」と聞いて、私が記憶から思い起こしたことと言えば、黒い服を着た綺麗なお姉さんと、少年が旅をするアニメのことかと思っていた程である。調べるとどうも違うようだ。「銀河鉄道999」という機械の身体を求めて旅をする物語であった。正しく本当の幸いは遠いのである。では、あれだ?トトロとかナウシカの作者だろ?それは宮崎駿であった。「宮」の部分しか一致していないありさまだ。とてもではないが校長先生を説得するほどの知識と熱意が圧倒的に不足しているのである。
陽キャの風見がメンタルやられて不登校になり、人生の計算を改めて退学よりも留年を選択した結果になった。風見は先生にも好かれており、後輩達にも人気があるのだから、きっと留年しても高校生活を満喫できるのだと感じた。ただし、3年生であるので受験勉強が強いられている。だが、簡単に乗り越えそうだ。
ほんとうの幸いは、遠い。それは、誰しもが感じる理想郷への憧れなのである。今が幸せと感じることも良い。また、未来の幸せを獲得するための現状でも良い。遠い幸せを得るために今日も一歩動こうと心抱いた。
終わりに
毎年課題図書を読んでしますが、一般にも人気になる本があります。
2024年度は「宙わたる教室」であったり、その前は、「ラブカは静かに弓を持つ」などです。
この本も、設定が凝っていて設定回収できてないような気持になるくらい盛りだくさんでした。よくよく調べると、シリーズものの第二弾だからなのでしょう。
「銀河鉄道の夜」は読んだことありましたが、感想文は書いていないようです。今度書籍見つけて書いてみようと思います。最後が少し謎だった記憶はあるのですが本読み過ぎで色んな内容が混ざってしまうのですよね。黄泉の国へ向かう列車の中での出来事として読んでいた気もします。
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